雑誌『日本』一覧

巻頭言

明治日本の躍進は、江戸末期の日本の社会経済が、人材でも制度でも、知的能力でも、工業技術以外では、西洋諸国とならぶか、それ以上だつたからである。例へば識字率は、英仏の倍くらいだつた。だから鉄道でも、東京と横浜の建設を見れば、すぐ自力で大津から京都への線路を建設できた。

『海軍少佐黒木博司遺文集』に学ぶ

未曽有の「大東亜戦争」が敗戦という形で終結してから七十五年の昨年、我が国は「コロナ禍」のパンデミック(世界的感染流行)という新たな戦争に直面して、官民ともに右往左往、戦後の利己的・無責任な在り方に深刻な反省を迫られている。

巻頭言

嗚呼(ああ)、あの昭和二十年八月十五日より、星霜流れて七十六年。日本は今、戦後二度目の東京オリンピック競技大会を、コロナ猖獗(しょうけつ)の只中に開催して全世界の注目を浴びてゐる。この間、世界情勢は一変、二変、三変した。

再考 大東亜戦争の開戦と終戦をめぐる決断

今年は大東亜戦争の開戦から八十年という節目の年である。戦ひには敗れたが、大航海時代に始まる白人支配の世界秩序を打ち破つて人種差別と植民地を無くするといふ世界史上の壮大な事業を実現した。しかし、日本国民には、敗戦の衝撃の方が遥かに大きかつた。

香港化を免れた高杉晋作の彦島談判

平成九年(一九九七)七月一日、香港の租借(特別の合意のうえ他国の領土の一部を期間を限って借りること)九十九年の期限が切れて英国から返還されました。 それから五十年間は、香港を特別行政区として、中国の法と香港の自治法が両立する「一国二制度」が導入されることになっていました。…

巻頭言

先月号でタイ国の農民から仏陀の五戒の訓戒を告げられて驚いたことを記したが、そのキリスト教徒の「モーゼの十戒」との類似にも驚かされる。旧約聖書の出エジプト記が記録する十戒を今月の巻頭言に掲げたが、五戒の不殺生戒・不愉盗戒・不邪淫戒・不妄語戒・不飲酒戒の最後以外は全部含まれてゐる。

今、国防のためにすべきいくつかのこと ― やっと中国の脅威に気付いた日本 ―

中国の動きが大胆さを増す中、どのように日本の防衛をしていくのか、多くの人が危機を認識し始めています。数年前までニュース報道の現場に身を置いていた私にとっては、ある種の感慨深ささえ感じることです。長年の間、「中国の脅威」はメディアにおいて「触れるべきではない話題」だったからです。

皇室とパラリンピック

七月二十三日、新型コロナウイルスの蔓延により一年延期されていた東京オリンピックがいよいよ開幕します。そして一ヶ月後の八月二十四日には、パラリンピックも開催される予定です。 さて皆さんは、この「パラリンピック」が、実は皇室と深いかかわりがあるということをご存知でしょうか?…

巻頭言

先月号の解説に記したが、一九七〇年代、私は京大東南アジア研究センターの同僚と共に、東南アジア各国の農村・山村・都市を歩き、彼等の生活と心情にふれる努力を重ねた。驚きの一つは、タイ・ミャンマー・ベトナムなどの名もなき民が我々に語る事に、私が子供の時に祖父母から聞いた昔話や教訓の面影があつたことである。多くは仏教に関係があつた。