巻頭言

11月号巻頭言「君主制」解説
市 村 真 一 / 京都大学名誉教授 

我が国の君主制の維持存続が、世界史の上でいかに稀有(けう)であり、貴重であるかは、東西の歴史を数百年回顧しただけで明らかである。ロシア革命でロマノフ王朝を滅ぼした共産主義者は、彼等が指導者と仰いだレーニン、 スターリンの思想や国民指導を、今どう国民に教へ直し てゐるのか。一旦成立したソ連邦の世界赤化は、今や幻 想と消え跡形もない。中国が、そんな夢想に追随して、 全く異質の中華文明をどうこうしよう等と考へても、木 に竹を接 つ がんとするもので、失敗は目に見えてゐる。

マックス・ウェーバー(一八六四~一九二〇年)は、ド イツ社会学の最高峰である。巻頭言は、そのマリアンネ 夫人が、名著『マックス・ウェーバー』で明言して有名 になつたウェーバーの国体観である。我が国にウェーバー の研究者は多いが、その誰もこのことを問題にしないが、 彼の若き弟子で米国オハイオ大学教授、京大でも講義し たカール・レーヴェンシュタインの著『君主制』(秋元律 郎・佐藤慶幸訳。みすず書房。一九五七年刊)はウェー バーの考へを敷衍してゐて、一読に値する。拙著『皇室 典範を改正しなければ、宮家が無くなる』(藤原書店。平 成二十四年刊)後半も同線上にある。