巻頭言

12月号巻頭言「大嘗祭の御告文」解説
市 村 真 一 / 京都大学名誉教授 

我が国の新天皇陛下の即位の御大礼は、「即位の礼」と「大嘗祭」の二つの儀式を中心に、実施される。

このうち大嘗祭は、天武天皇朝(六七三年)より行はれてきたが、朝威の衰退などにより遅延したり中断された時期があつた。その大嘗祭は、悠紀田・主基田の選定に始まり、稲と粟を大事に育て、秋に収穫した新穀を神饌とされる。又宮中の清浄な場所に、十一月の中卯日までに大嘗宮を建てる。其処に皇祖の天照大神と天神地祇をお迎へし、神饌や神酒をお供へして神々を饗され、又自らも頂かれる。その途中で奏上されるのが、巻頭言の「御告文(おつげぶみ)」である。

ここに掲げたのは、宮内庁が、この度一部を公表されたもので、後鳥羽上皇が新帝順徳天皇に伝授するために書き残された御告文で、現存する最古の実例である。五穀の豊穣と国土の安寧と国民生活の救済を祈られてゐる。歴代天皇のお祈りをうかがひ知ることのできる貴重な一文である。

今月の巻頭言と解説には、色々、所功教授の貴重な御教示を得た。深く感謝する。