巻頭言

正月号巻頭言「御即位奉祝国民祭典」解説
市 村 真 一 / 京都大学名誉教授 

私は、これまでの生涯に三度、御即位の大礼に際会し、この眼で御即位の大礼・式典の一端を拝する光栄に浴した。昭和天皇の御大典は、昭和三年秋十一月、私の郷里、京都で行はれた。時に満三歳の私は、祖父母に手を引かれ、駅近くの東本願寺前に敷かれた茣蓙(ござ)に座り、御料車をお迎へし、拝礼し、お見送りした。お車が近づくと「拝礼」との小声が聞え、皆座り直して低頭した。お車が過ぎた頃、そつと頭を挙げて見回すと、皆、頭を垂れたままピンと緊張してゐた。その気分、私にも解り今も忘れない。

平成の天皇御即位式には、文部省関係の会の役員だったからか、正式に招待された。各界の有力者や外国の使臣達に近い席で、式典の進行を親しく拝見した。高たかみくら御座からの陛下の御言葉と海部首相の御祝辞を拝聴し、深く感動した。

この度の奉祝行事は、皇居の中での即位式と大嘗祭の“おごそかな”式典に、国民参加のお祭りを加へる試みで、私は、その方に参加したのだ。宮城前広場を大劇場と見立て、皇居周辺の道路を地方や近隣の山車(だし)や踊りのコースとし、宮城前劇場は音楽隊・歌謡団・大和太鼓・舞踊団のオンパレードで実に楽しい国民祭典であつた。新企画の成功を祝ふ!