オイスカ研修生の見た日本ー家族との時間を大切に

マグナイバヤル デルギルムルン/モンゴル

私には二歳の息子がいます。そんな小さな子どもを母国において、一人で日本に来るのはとても心が痛かったのですが、それ以上に悲しい体験から抜け出せずにいた自分自身を変えたいと思い、一年間の日本での研修に挑戦することにしたのです。実は、一昨年、夫が事故で亡くなり、私は悲しくて毎日泣いていました。今でも考えると涙が出てきます。周りの人たちが心配してくれ、環境を変えてみたらどうかという知り合いの勧めもあり、日本で農業の勉強をすることを決め、昨年の四月に来日しました。モンゴルはとても寒い国ですから、冬の間はほとんど農業ができません。私の家には小さな畑がありますが、育てているのは、ジャガイモやニンニクなど限られたものだけです。日本ではいろいろな野菜を育て、稲作や養鶏も学びました。慣れない作業も多く、初めは大変でしたが、キャベツやハクサイなど、葉物の野菜を育てるのがとても楽しいです。

日本に来て本当に素晴らしいと感じたことは、挨拶と町の美しさです。モンゴルでももちろん顔見知りに会えば「おはよう」「こんにちは」といった挨拶をしますが、日本はそれ以外にも、「いただきます」「ごちそうさまでした」「行ってらっしゃい」「お先に失礼します」「おつかれさまでした」「よろしくお願いします」など、いろいろな場面で使う、たくさんの挨拶や声かけがあるように思います。そして道路などにゴミが落ちていないことに感心しました。日本では、子どもの時からゴミを分別して捨てるように教えられていますから、小学生でも何をどこに捨てるのか、みんなよく分かっています。だからゴミをその辺りにポイ捨てすることもありません。そして仕事や勉強が終わったらきちんと片付けをすることも習慣になっています。モンゴルでは仕事を終えたら、そのまま家に帰り、次の日、会社に行ってから準備をします。でもここでは、畑での作業が終わったら、使った道具はきれいに洗い、倉庫に整頓して片づけます。そうすることで、次の日に必要なものをすぐに取り出すことができ、スムーズに作業に取りかかることができます。片付けは次の仕事の準備なのだということが分かりました。

日本にはこのように挨拶や美化、整理整頓をはじめ、たくさんのよい点や見習いたい点がありますが、気になっているのは家族とのつながりが薄いのではないかということです。私は今、息子を母に預けて日本に来ているため、家族と離れて生活をしていますが、毎晩電話で話をしています。日本人に聞くと、仕事や学校の都合で、別々に住んでいる家族がいても、毎日電話をかけることはないといいますし、特別な時でなければ、あまり会うこともないそうです。私は、ずっと身近にいると思っていた家族が急にいなくなってしまった経験があるから、特にそう感じるのかもしれませんが、家族をもっと大事にするべきだと思います。大事にするというのは、感謝の気持ちや心配する気持ちがあるのなら、心の中で考えているだけではなくて、電話でもいいからしっかり言葉にして伝えるということです。そして、もっといいのは、できるだけ会いに行って一杯のお茶を出してあげ、たくさん話をすることです。考えたくはありませんが、いつかそれができなくなる時がくるのです。だから、今、できる時に家族を大事にすることが必要だと思います。

もう一つ気になっているのは、国際交流のプログラムとして、料理交流をする機会がよくあるのですが、その時に気が付いたことです。それは、若い人たちに料理の経験が少ないということです。十七歳の女の子が、料理がまったくできないと聞いてとても驚きました。日本ではお母さんが子どもに料理を教えないのかなぁと不思議に思いました。結婚してからできるようになるのかもしれませんが、子どもの時から少しずつ母親の手伝いをしながら覚える方がいいのではないでしょうか。モンゴルでは若いうちに結婚をして子どもを産む人が多いです。私も二十一歳で結婚しました。日本では結婚するのが遅い人が多いし、結婚をしない人もいるようですが、若いうちに子どもを産んだら、子どもと一緒に成長をすることができるので、三十歳を過ぎてから出産するよりもいいと思います。今は息子と離れていますが、国に帰ったら、日本で学んだことを教え、日本人のように挨拶やゴミの分別、片付けがしっかりできる大人に育てたいと考えています。