巻頭言

九月号巻頭言「米国と中国の衝突」解説
市村真一 / 京都大学名誉教授 

米国のトランプ政権において、最も重視すべき閣僚は、衆目の一致するところ、このマイケル・ポンペオ国務長官である。

彼の経歴が凄い。南カリフォルニアの生れで、高校からウェストポイントの陸軍士官学校に入校、工兵科を首席で卒業後、冷戦の最中、西独に勤務。ベルリンの壁の近くで監視任務など五年。大尉で退役し、ハーバード大学法学院で勉学、大学のロー・レビュー誌の編集者をつとめた。その後、母の郷里のカンザス州に戻り、自分の事業を始めて大成功。

二〇一一年に下院議員に立候補して当選。ほどなく下院の情報委員会で名声を得て有名議員となり、二〇一七年にはトランプ大統領に中央情報局(CIA)長官に任命され、翌一八年に国務長官(七十代目)に起用された。

巻頭言に引用した今年七月二十三日の講演は、外交問題の名演説としてあちこちで引用されるだけあつて、非常に内容にそつがなく、関係者(勿論大統領も)夫々の功績を讃へ、欧・露・亜・中近東・中との関連も押へた立派な議論で、さぞ大統領も気に入つたらう。関心者は、直接読まれたい。

ただ海外で反政府運動中の中国人に、米政府が公然と呼びかけるのはいかがか。大統領選挙後が見み 物ものである。私には、米中両国の財政事情が気にかかる。