巻頭言

二月号巻頭言「神武天皇詔勅」解説
市村真一 / 京都大学名誉教授 

二月十一日は「建国記念の日」である。元の「紀元節」、四大節の一つであつた。戦後日本を占領した米軍当局は、日本政府が祝祭日にこの日を入れることを認めなかつた。忘れるな、「建国記念の日」は、独立後、野党の反対を押し切つて復活したことを。共産党などは、未来に革命が成る日が建国記念日と言つた。この日の有無は、日本ナショナリズムの命がかかる。

日本最古の公式古典『日本書紀』は、神武天皇が橿原(かしはら)の畝傍山(うねびやま)やまで天皇に即位された時、祖先は正式に大和の「くに」を内外に宣言したと伝へる。

昔も今も、「建国」は容易ではない。近刊の拙著『日本とアジア』で、国家独立の絶対の二条件は、「国民の統一と生活の安定なり」と書いた。世界人口の四分の一にはその条件が満たされてない。中近東・中央アジア・アフリカ等の各地の住民や、世界の数カ国の内部にも、独立を望んで得られぬ人々は、実に多い。

我等は、建国の当初より、天の下すべての人々が家族の如く和(なご)やかに暮らすことを理想とし、及ばずながら、人種差別撤廃論を主張し、また植民地の独立を訴へて一部は成功した。友よ、それが日本国の理想なのだ。