巻頭言

十月号巻頭言 『乳幼児教育の重大さ』 解説
市村真一 / 京都大学名誉教授 

本誌の昨年十二月号に、同趣旨を、私はソニーの創業奢の一人、井深大会長の名著などを引用して述べた。再読を望むが、私が井深さんにお目にかゝつたのは、文部省の中央教育審議会の席で、五十年以上前、私も四十代前半であつた。当時、日本は大学紛争の最中、中国は文化大革命中だつた。だが一九九〇年の後、内外情勢は一変した。大学や論壇から自称社会主義者は忽然と消えた。しかし井深さんの名著は愈々健在で、広く読まれてゐる。管見に入つただけを挙げると、
⑴『幼稚園では遅すぎる』 一九七一年
⑵『0歳からの母親作戦』 一九七九年
⑶『あと半分の教育』 一九八五年
⑷『わが友 本田宗一郎』 一九九一年
⑸『胎児から』 一九九二年
等々あり、殆どの書物が、文庫本になつてゐる。先づは、自らも家内も愛読した一書⑵をお薦めする。それは古来聞いて来た胎教であるが、私はその古典あるを知らない。