『日本』令和6年3月号

三月号巻頭言 「明治天皇御宸翰」 解説

天皇親政と文明開化を掲げた明治維新に際して、政治の大方針として国民に示された五箇条の御誓文に続けて、明治天皇の御覚悟を神前に誓はれたのがこの御宸翰で、正に一対である。

明治天皇が目標とされたのは、全国民を幸せにすることであつた。それができないのは、自分自身の罪であるとして、天皇自らこの難事業の先頭に立つて、努力することを誓はれた。そして最後に、国民に「汝億兆」と呼びかけて「能よく々よく朕が志を體認し、相率て私見を去り公議を採り(私の志を理解して、ともに私見を捨てて公論に従つて)私の事業を助けて欲しい」と呼びかけられたのである。

広く会議を開いて万事を公論(会議)によつて諮るといふ天皇親政は、民主主義思想が生まれる以前から正に神代から我が国に定着してゐたのである。

(永江太郎)